「収容定員の厳格化」というワードを聞いたことがありますか?

実は2016年に導入された厳格化ですが、2025年度の入試が最も厳しくなります。

その結果、多くの大学が一般選抜の最低点を上げ、合格者数を減らすことで難易度が上がりやすいことが予想されます。

今回は、収容定員の厳格化が導入されたことにより、大学や受験生にどう影響があるのか解説します。

今まではどうだったのか

正直に言うと、今までは次のような運用が、特に私立大学では当たり前でした。

  • 入学辞退を見越して多めに合格を出す
  • 最終的な入学者が、定員を多少オーバーする程度に合格を出す

理由はシンプルです。

  • 学生が集まらないと経営が成り立たない
  • 多少オーバーしても大きなペナルティがなかった

からです。

大学側も、受験生の動きを完全には読めません。そのため、「足りなくなるよりは、少し多めに」という発想で合格者を出していたのです。

また、大学の規模が8,000人以上の大学で入学定員の1.2倍、8,000人未満の大学は1.3倍まで入学させても補助金が減額・不交付になることはありませんでした。

なぜ、今になって厳格化されたのか

背景は「大学側」ではなく「国側」

ではなぜ、厳格化するのでしょうか。
文部科学省が問題視したのは、次の点です。

  1. 定員超過の大学と、定員割れ大学の差が激しすぎる
  2. 合格者を大量に出すことで、受験生が振り回される
  3. 教育環境が、定員管理次第で大きく変わってしまう

つまり、

「大学の都合で、受験生を不安定な状態に置きすぎていないか?」

という視点です。

人気大学に学生が集中し、地方大学は定員割れ。その一方で、都市部の大学は教室がパンパン。こうした格差を是正し、教育の質を保つために、国が介入したのです。

導入されたのが「段階的な厳格化」

入学定員の厳格化は、2016年から導入されました。
当初は、単年度の「入学定員充足率」から基準に厳格化されました。
しかし、2023年からさらに厳格化され、単年度の「入学定員充足率」から4年間の「収容定員超過率」に一本化されました。

収容定員とは、学部・学科ごとに定められた全学年の学生数の合計です。

例えば、経済学部経済学科のみの単科大学で1学年100人が定員の場合、

1年生:100人
2年生:100人
3年生:100人
4年生:100人
の合計、400人が収容定員になります。

つまり、今まではその年に何人合格を出すかだけを見ていればよかったのですが、これからは1〜4年生の在学状況から何人に合格を出すかを見極めるがあるということです。

もし、今年多く入学させてしまったら、4年間尾を引くことになります。

また、2023年から段階的に厳格化され、2025年に最も厳しくなります。

大学の規模2024年2025年
4,000人未満1.4倍1.3倍
4,000人以上8,000人未満1.3倍1.2倍
8,000人以上1.2倍1.1倍

さらに、超過した場合のペナルティも厳格化され、私立大学等経常費補助金の大幅な減額、最悪の場合は不交付となります。

特に大規模大学ほど、最終的に厳しくなる設計です。

たとえば、収容定員8,000名以上の大学では、超過率1.0倍(つまり定員ぴったり)が求められるようになりました。以前は1.1倍や1.2倍でも許容されていたことを考えると、かなりの変化です。

収容定員を守らないと、大学はどうなる?

一番大きいのは「お金」

  • 私立大学等経常費補助金が減額、または不交付
  • 数千万円〜億単位で影響が出ることも

大学にとって、これは致命傷です。

私立大学等経常費補助金は、私立大学の運営を支える重要な財源。
これが削られると、教育環境の維持、教員の確保、施設の整備など、あらゆる面に影響が出ます。

多くの大学が考えること

「在学生が卒業しないと入学させることができない」
「多めに合格を出すのは危険すぎる」

結果として、

  • 合格者数を絞る
  • 補欠合格も慎重になる

つまり、大学は「少し足りないくらい」で抑えるしかないのです。

だから今年の一般選抜は「難しくなりやすい」

今年、私は「例年なら合格だった点数でも不合格になる」と予想しています。
合格できる人数が減れば、必然的に「合格最低点」は上がります。
受験生にとっては、実質的に「厳しくなった」と感じるのです。

特に影響を受けやすいのは

  • 中堅私立大学(日東駒専、産近甲龍など)
  • 都市部の人気大学(MARCH、関関同立など)

逆に、もともと定員管理が厳しかった国公立大学や、総合型選抜・推薦入試の割合が高い大学は、影響が比較的小さい傾向にあります。

大学の本音を、正直に言います

おそらく、大学は今こう思っています。

「本当は、もう少し取りたい」
「でも、国のルールだから守らないといけない」
「一度定員を超えると、数年間ずっと苦しくなる」

つまり、

  • 受験生に厳しくしたいわけではない
  • でも、補助金をカットされるほうがもっと痛い

というのが本音です。

大学の入試担当者も、受験生一人ひとりの努力を知っています。

できる限り多くの受験生を迎え入れたい。でも、制度がそれを許さない。
このジレンマの中で、苦渋の決断をしているのです。

保護者として、どう受け止めればいいか

まず、冷静になりましょう

  • 「うちの子が不利になった」と考えすぎない
  • 制度が変わったことを、早めに知れたのはプラス

すべての受験生に同じ条件です。早く知って、早く対策を立てられる人が有利になります。

そして、戦略を見直しましょう

次の3点を、冷静にチェックしてみてください。

  1. 併願校の組み方
    → 安全校を1校増やすだけでも、安心感が変わります
  2. 安全校・挑戦校のバランス
    → 「全部挑戦校」「全部安全校」になっていませんか?
  3. 一般選抜”一本足打法”になっていないか
    → 総合型選抜・学校推薦型選抜も視野に入れることで、選択肢が広がります

特に、一般選抜だけに頼るのは、今の時代リスクが高いです。

可能であれば、総合型選抜や推薦入試も併用する戦略を考えてみてください。

まとめ:厳格化の中でどう対応するかが大切

収容定員の厳格化は、今後、緩くなる可能性は低いと考えています。

厳格化の中でできることは

  • 学力を高める(確実に合格できるレベルの学力)
  • 総合型選抜や学校推薦型選抜などの入試を受験する
  • 指定校の枠をもらう(高校が把握している)

などがあります。

早めに知ることで、いろんな方向性から対策ができます。

お子さんの未来のために、一緒に最善の道を探していきましょう。