はじめに

福岡大学経済学部は、経済学科産業経済学科の2学科で構成される、九州屈指の規模を誇る経済系学部です。

本記事では、令和4年度(2022年度)から令和8年度(2026年度)までの5年間の入試データを徹底分析し、志願者数・競争率の変動トレンドや各入試方式の特徴を詳しく解説します。

高校生のお子さんをお持ちの保護者の方、そして受験生本人にとって、「いつ・どの方式で受験すべきか」の判断材料となる最新の入試データをわかりやすく解説します。特に年内入試(総合型・推薦)を検討中の方は、早期対策の必要性を示すデータもありますので、ぜひ最後までご覧ください。


経済学部の基本情報

学科名 特徴
経済学科 経済理論・政策・国際経済を幅広くカバー
産業経済学科 産業・企業・地域経済に特化した実践的カリキュラム

入試区分の分類:年内入試 vs 年明け入試

大学の入試は、大きく「年内入試」「年明け入試」の2つに分類できます。

区分 入試方式 主な実施時期
年内入試 ① 総合型選抜 9〜11月
② 学校推薦型選抜(A方式) 11〜12月
年明け入試 ③ 一般選抜(前期日程) 2月
④ 一般選抜(系統別日程) 2月
⑤ 共通テスト利用型(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期) 1〜3月
⑥ 一般選抜(後期日程) 3月

年内入試の傾向:5年間で志願者が急増、競争も激化

総合型選抜と学校推薦型選抜を合わせた年内入試全体の志願者数を見ると、経済学科では令和4年度の163名から令和7年度の288名へと5年間で約1.8倍に増加しています。
令和8年度は281名であり、依然として高水準を維持しています。

この背景には、一般選抜の競争激化に伴い、年内に進路先を確定させたい受験生の増加があると考えられます。

ただし、年内入試の競争率も同時に上昇しており、「一般選抜より楽に合格できる」という認識はすでに通用しません。


【分析①】総合型選抜:志願者倍増・高競争率が常態化

年度 経済学科
志願者/競争倍率
産業経済学科
志願者/競争倍率
令和4年度(2022) 55名 / 3.7倍 37名 / 7.4倍
令和5年度(2023) 67名 / 3.2倍 33名 / 3.3倍
令和6年度(2024) 97名 / 3.9倍 33名 / 2.8倍
令和7年度(2025) 126名 / 5.3倍 54名 / 4.9倍
令和8年度(2026) 125名 / 5.2倍 44名 / 4.0倍

総合型選抜(旧AO入試)は、経済学科で5倍超の超高競争率が令和7〜8年度と2年連続で続いています。
志願者数も令和4年度の55名から令和7〜8年度は125名前後と倍以上に増加しており、この入試方式への関心が急速に高まっていることがわかります。

産業経済学科の競争率も4.0倍と依然高く、基礎学力に加えて志望動機や自己PR力が問われる総合型は、しっかりとした事前対策が不可欠です。


【分析②】学校推薦型選抜(A方式):推薦でも競争激化が鮮明

年度 経済学科
志願者/競争倍率
産業経済学科
志願者/競争倍率
令和4年度(2022) 108名 / 2.4倍 27名 / 1.9倍
令和5年度(2023) 115名 / 2.6倍 27名 / 1.8倍
令和6年度(2024) 121名 / 2.7倍 47名 / 2.0倍
令和7年度(2025) 162名 / 3.6倍 55名 / 2.9倍
令和8年度(2026) 156名 / 3.7倍 40名 / 2.5倍

経済学科の学校推薦型競争率は令和4年度の2.4倍から令和8年度は3.7倍へと上昇
令和7〜8年度の志願者数は150名超えで高止まりしており、「推薦なら入りやすい」という時代は完全に終わりを告げています。
推薦希望者も、評定平均の維持はもちろん、面接・小論文対策が必須です。

産業経済学科は競争率2〜3倍台で経済学科より低めですが、こちらも令和7年度は2.9倍まで上昇しています。


年明け入試の傾向:系統別にシフト・前期は志願者減少

年明け入試では、前期日程の志願者が令和8年度に減少に転じる一方、系統別日程の志願者は増加という対照的な動きが起きています。

これは、系統別日程の特徴に起因していると考えられます。
系統別日程とは、全9学部を5つの学問系統(人文科学・社会科学・理工学・医療・スポーツ)に分け、同一系統の学科なら1回の試験で複数学科の併願が可能となります。

また共通テスト利用型の志願者も増加傾向にあり、「複数の入試機会を活用してリスク分散する」戦略が広まっていることが読み取れます。


【分析③】一般選抜(前期日程):志願者がR8で初の減少転換

前期日程は募集人員が最も多い主力入試枠です。

経済学科(前期日程・募集人員225名)

年度 志願者数 合格者数 競争倍率
令和4年度(2022) 2,333 785 2.9倍
令和5年度(2023) 2,356 912 2.5倍
令和6年度(2024) 2,460 809 3.0倍
令和7年度(2025) 2,520 790 3.1倍
令和8年度(2026) 2,231 737 2.9倍

令和7年度に2,520人と最多志願者を記録しましたが、令和8年度は2,231人と約289人の大幅減少。競争率も2.9倍に落ち着きました。
系統別日程の志願者が同時期に増えていることを踏まえると、併願を希望する受験生が増えた可能性が高く、前期日程は相対的に挑戦しやすい状況になったと言えます。

産業経済学科(前期日程・募集人員90名)

年度 志願者数 合格者数 競争倍率
令和4年度(2022) 941 298 3.1倍
令和5年度(2023) 790 329 2.4倍
令和6年度(2024) 780 285 2.7倍
令和7年度(2025) 880 289 3.0倍
令和8年度(2026) 857 235 3.6倍

産業経済学科の前期日程では、令和8年度の競争率が3.6倍と過去5年間で最高を記録しました。
志願者数はR7とほぼ同水準ながら合格者数が絞られた結果、競争倍率が高くなりました。


【分析④】一般選抜(系統別日程):5年ぶりに志願者が急増・競争率も最高値

系統別日程は400点満点・最難関の一般選抜となりました。

経済学科(系統別日程・募集人員25名)

年度 志願者数 受験者数 合格者数 競争倍率
令和4年度(2022) 636 624 205 3.0倍
令和5年度(2023) 618 603 175 3.4倍
令和6年度(2024) 522 517 160 3.2倍
令和7年度(2025) 637 629 185 3.4倍
令和8年度(2026) 685 679 184 3.7倍

令和8年度の志願者数は685人と5年間で最多を記録。
令和6年度の522人から急回復し、競争率も3.7倍と過去5年間で最高水準に達しています。前期日程から系統別日程へのシフトが明確に読み取れます。

産業経済学科(系統別日程・募集人員10名)

年度 志願者数 受験者数 合格者数 競争倍率
令和4年度(2022) 412 406 136 3.0倍
令和5年度(2023) 355 346 108 3.2倍
令和6年度(2024) 284 281 85 3.3倍
令和7年度(2025) 357 352 88 4.0倍
令和8年度(2026) 372 370 106 3.5倍

産業経済学科も令和6年度の284人を底に回復傾向。
令和7年度には競争率が4.0倍と急上昇しましたが、令和8年度はやや落ち着いて3.5倍となりました。


【分析⑤】共通テスト利用型(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期):複数機会でリスク分散

共通テスト利用型は、福岡大学独自の学力試験を受けずに出願できる方式です。
令和8年度のデータを中心に整理します。

入試区分 経済学科
志願者/合格者/競争倍率
産業経済学科
志願者/合格者/競争倍率
共通テスト利用型(Ⅰ期) 413名 / 148名 / 2.7倍 129名 / 47名 / 2.6倍
共通テスト利用型(Ⅱ期) 246名 / 70名 / 3.5倍 73名 / 24名 / 3.0倍
共通テスト利用型(Ⅲ期) 46名 / 4名 / 10.3倍 30名 / 3名 / 9.3倍

Ⅰ期・Ⅱ期は2〜3倍台と比較的チャレンジしやすい水準ですが、Ⅲ期は経済学科10.3倍・産業経済学科9.3倍と極めて高い競争率となっています。
共通テスト利用型の志願者は年々増加傾向にあり、令和8年度の経済学科Ⅰ期志願者数413名はここ数年で最多水準です。

共通テストのスコアを活用して複数の時期に出願できる点が魅力で、一般選抜と組み合わせたリスク分散戦略として活用する受験生が増えています。

また、Ⅲ期は後期日程となるため、必然的に競争倍率は高くなります。


【分析⑥】一般選抜(後期日程):狭き門の最終手段

入試区分 経済学科
志願者/合格者/競争倍率
産業経済学科
志願者/合格者/競争倍率
後期日程(令和8年度) 110名 / 12名 / 8.4倍 47名 / 6名 / 7.3倍

後期日程は「最後のチャンス」として出願が集中する傾向があり、経済学科で8.4倍・産業経済学科で7.3倍という極めて高い競争率となっています。


5年間のトレンド総括

年内入試:志願者急増・競争激化

年度 経済学科
年内入試 志願者合計
(総合型+推薦)
産業経済学科
年内入試 志願者合計
(総合型+推薦)
令和4年度(2022) 163名(55+108) 64名(37+27)
令和5年度(2023) 182名(67+115) 60名(33+27)
令和6年度(2024) 218名(97+121) 80名(33+47)
令和7年度(2025) 288名(126+162) 109名(54+55)
令和8年度(2026) 281名(125+156) 84名(44+40)

経済学科の年内入試志願者合計は5年間で163名→281名と約1.7倍に増加。
年内での合格確定を目指す受験生が急増しており、競争率も上昇しています。
一方で産業経済学科はR7の109名からR8は84名とやや落ち着きました。

年明け入試:系統別への集中と前期の変化

年明け入試では、前期日程の志願者数が令和8年度に初めて前年比マイナスに転じる一方、系統別日程が5年間最高を更新するという対照的な動きが起きています。
上位層が最難関の系統別に集中することで、前期日程はやや「穴場」化しつつあるとも読み取れます。

  1. 年内入試の競争激化
    総合型・推薦ともに5年前と比べて明らかに難化。早期確定のメリットと引き換えに、十分な対策が必要です。
  2. 前期日程から系統別日程へのシフト
    系統別の志願増・前期の志願減が同時進行。高学力層の入試戦略の変化が見て取れます。
  3. 産業経済学科は経済学科より全体的に入りやすい
    多くの入試区分で競争率が低め。経済系の学びを希望しつつ、合格可能性を上げたい受験生の選択肢になりえます。
  4. 後期・共通テストⅢ期は超高倍率
    あくまで保険的な位置づけで活用し、前半戦(年内・前期・系統別)での勝負を中心に考えましょう。

受験生へのアドバイス

年内入試(総合型・推薦)を狙う場合

競争率3〜5倍超の難関となっています。
調査書の評定平均維持はもちろん、志望理由書・面接・小論文の対策を夏前から始めることが合格への近道です。「年内に決めれば楽」という時代ではありません。

前期日程(300点満点)を中心に狙う場合

競争率は2.9倍と年明け一般選抜のなかでは相対的に低め。幅広い受験生層が集まるため、基礎〜標準レベルの問題を確実に得点できる実力が求められます。

系統別日程(400点満点)を狙う場合

競争率3.7倍の最難関区分。英語・国語・数学(または社会)の総合力を高め、過去の合格最低点ラインを意識した対策が必要です。早期から計画的に取り組みましょう。

共通テスト利用型を活用する場合

Ⅰ期・Ⅱ期は2〜3倍台と比較的チャレンジしやすく、一般選抜との併願によるリスク分散に有効です。Ⅲ期は超高倍率のため、あくまで最終手段として位置づけてください。


まとめ

福岡大学経済学部は、令和8年度において年内入試・年明け入試ともに競争が激化しており、いずれの入試区分も油断できない状況です。
特に年内入試(総合型・推薦)の志願者急増と系統別日程の志願者増は、受験生が戦略的に入試を選択し始めていることを示しています。

どの方式を選ぶにせよ、早い段階から入試区分の特性を理解した上で、計画的に対策を進めることが合格への最短ルートです。

本記事のデータは公式発表の入試状況表に基づいています。最新情報は必ず福岡大学公式サイトや各年度の募集要項でご確認ください。

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